さよならGoogle日本語入力、ただいまATOK
僕は1年ちょっと前に、長らく使っていたATOKを離れて、Google日本語入力に乗り換えた。
ありがとうATOK。30年間お世話になりました。
— aikawame (@aikawame) 2017年10月25日
そしてこの度、めでたく出戻りを果たすこととなった。
我慢の限界に達したのでATOKに出戻り。今回はプレミアムにしてみた。
— aikawame (@aikawame) 2019年1月12日
出戻りの背景
ツイートにもあるように、僕は30年来のATOKユーザーだ。一太郎Ver.3(昭和62年発売)の頃から使っていて、人生で一番長く使ってきたソフトウェアなのは間違いない。
ただ、最近ではGoogle日本語入力のユーザーが増えていて、ATOKと比べても遜色ないという話もちらほらある。僕自身はATOKの変換精度に満足していたし、毎月300円払う価値は十分にあると思っていたけれども、他のIMEを使わないままATOKを最高と妄信するのも良くないと考えて、一念発起して乗り換えた。
IMEというのは学習で自分好みになっていくものなので、最低1年は使わないといけないと思った。その間、感心することもあったし、あまりの残念さに悶絶することもあったけれども、結局の所ATOKに戻ってきたということは、僕にとっては残念さが勝ったということになる。
Google日本語入力の良かった所
無料
多分大多数のユーザーにとっては一番大きい所。対するATOKは買い切りか月額300〜500円程度のサブスクリプションなので、IMEがOSに内蔵されているのが当たり前となって久しい現代では、高いハードルとなるのは間違いない。
標準のIMEよりは賢い
WindowsやMac、スマートフォンの大多数のIMEに比べれば、Google日本語入力は圧倒的に賢い。インターネットの集合知をフル活用した予測変換は本当に強力で、よくこれが無料で提供できると感心した。
ATOKの方が良かった所
変換・学習精度が超絶高い
出戻りの一番の理由はこれ。Google日本語入力は、同じ単語を別の文脈で使うと意図した通りに変換されなかったり、簡単な文章なのに正しく変換されなかったりということがしばしばあって、ストレスが溜まった。これは1年以上使い続けても変わらなかった。
また、ATOKは誤用や慣用表現をきちんと指摘してくれるのが良い。Google日本語入力だと正しい表現と誤用表現が一緒に変換候補に出てくることも多いので、混乱する。このあたりはネットの集合知の副作用だろう。ATOKはその点統制されているが、一方で流行語やネットスラングも随時更新されているので、予測変換の強さでは良い勝負をしてくれる。
辞書を他の端末と共有できる
ATOK Passportの場合は環境設定や辞書を複数端末で同期できるので、持っている端末が多い場合は非常に助かる。あと、OSを再インストールした時にも簡単に設定を復元できる。Google日本語入力にも以前は同期機能があったけれども、大人の事情なのか削除されてしまったのが残念だ。
クラウド辞書が充実
ATOK Passportのプレミアムに限るけれども、常に最新の広辞苑が使えたり、入力した文章を8カ国語に変換できたりする。このあたりは類似機能がOSに搭載されていたり、ブラウザー上で行えたりはするけれども、それをIME上でスマートに実現できるのは凄い。
それぞれどんな人に向いているのか
双方のIMEをじっくり使ってみた限り、それぞれ向いてそうな人は次の通りだ。
ATOKが向いてそうな人は、
- 文章を書くことが多い人
- 変換精度を気にする人
Google日本語入力が向いてそうな人は、
- とにかく無料が良い人
- 文章は打てれば良いという人
僕の場合、ブログで普段から文章を書いているし、自分の表現というのを結構意識している部分があるので、学習精度の高いATOKに軍配が上がる。このあたりは人によって感じ方は様々だと思うので、双方をある程度の期間試用するのが一番だと思う。ATOK Passportは一定期間無料で試用できるので、気になる人は試してみると良いと思う。
おわりに
1年ちょっと離れてみて、ATOKの良さを再確認できたのは良かった。伊達に平成の御代を通じて研鑽されてきたソフトウェアではないということを改めて思い知らされる。昭和の終わりに君と出会い、平成の終わりにただいますることになるとは。
次の時代もよろしく、ATOK。
補足
沢山のブコメをいただいたので、少しだけ補足。
ライセンス管理がクソという件。これはぐうの音も出ない。ライセンス管理に限らず、ATOKは歴史あるソフトウェアなので、増築に増築を重ねて内部が大変なことになっている。ユーザーIDとログインIDとATOK Passportのシリアルナンバーがそれぞれ別とか、歴史的経緯を知っていても正直狂気の沙汰と思っている。あと、ATOK Syncにインターネットディスクという化石のようなサービスを使っていたりとか…。このあたり、どこかのタイミングでジャストシステムさんには改善していただきたいと思いつつも、IMEの本質は変換や学習の精度なので、難しい所だ。
あと、予測変換の賢さについては実際に使ってみた方が良い。個人的な感触だと良い勝負だと思うが、分野によっては有意差が出るかもしれない。少なくとも、「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」とか、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」とか「俺が好きなのは妹だけど妹じゃない」あたりはバシッと変換してくれる。実際に使ってみるの、本当に大事。
最後にSKKについては、僕もEmacsユーザーだった時期があるのでわかるけれども、個人的にはストイックすぎると感じるので、ATOKが使える環境下ではATOKを選びたい所。
あと、「不快語・表現など」に関する内容は次の記事に書いた。

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