食器洗い乾燥機の無い生活はもう勘弁
先日、我が家の食器洗い乾燥機が故障した。
しかも、丁度家族揃ってインフルエンザに罹った矢先だったもので、ふらつく体に鞭打って食器を手洗いするのは地獄だった。
洗濯機が無いも同然
一度食洗機のある生活に慣れると、それが無いというのは洗濯機が無いも同然の気分になる。いや、洗濯機はたとえ故障したとしても、余程の田舎でない限りはコインランドリーという選択肢がある。だがコイン食洗機など存在しない。手洗いしか道は無いのだ。
手洗いの負荷度合いという意味では、さすがに洗濯ほどでは無いにせよ、それでも自炊中心の食生活を送っていれば、毎食後の食器洗いは10分ではまぁ終わらない。1日2食を自炊したとして、月に10時間以上も食器洗いに奪われるのは結構辛いと思うのだ。
昔の人達はこれに加えて洗濯まで手洗いでやっていたと思うと、ゾッとする。
食洗機はいいぞ
というわけで、買い替えたのがこちらの機種。
2019年現在、ビルトインではない外付の食洗機は、パナソニックほぼ一強となっている。一応申し訳程度にアクアが1機種だけ出しているが。他社についてはここ数年で粗方撤退してしまったらしい。
まぁ、これまで使っていたのもパナソニック製だったので、特に違和感は無い。それでいて、フルモデルチェンジ1回を含む6回のモデルチェンジを重ねていて、性能は順当に向上している。動作音は格段に静かになったし、洗浄力も申し分ない。油まみれの食器を突っ込んでも大丈夫だ。
FAQ
自炊しないから要らない
まぁ、全く自炊しないのなら必要ないと思う。
独り暮らしだから要らない
自炊中心の生活で、台所に食洗機を設置するスペースがあるなら検討しても良いと思う。今はプチ食洗という小容量で安価な機種もある。
自炊してる時点で時間の無駄
自炊という行為自体を楽しむ場合や、食事を我が家流に細かくカスタマイズしたい場合などもあるので、一概に無駄とは言えないと思う。
でもお高いんでしょう?
上述の機種であれば実質6万円台で購入できる。設置費込みでもせいぜい7万円台。プチ食洗ならば4万円台も狙える。下位機種もあるけれども、エコナビはあった方が節電・節水になる。
賃貸だから工事とか無理なのでは?
分岐水栓の取付工事は必要だが、退去時に取り外せるので問題ない。余程特殊な蛇口でない限りは大丈夫だろう。
フライパンや鍋は結局手洗いなのでは?
あまり大きなものは無理だが、26cm程度のフライパンであれば問題なく入る。鍋も普通の大きさであれば入る。ただし、取っ手の取れるタイプであること。
2人暮らしならプチ食洗でもOK?
難しい所。品数が少なめとか、調理器具は手洗いするというのであればプチ食洗でも良いと思うけれども、それなりに自炊したいし楽したいというのであれば、通常サイズにした方が満足度は上がりそう。
何年くらい保つのか
ネット上では様々な報告があるけれども、我が家の場合は2012年から約7年、一度も故障することなく動いていた。残念ながら5年保証の期間も過ぎていたため、買い替えることに。
おわりに
実際問題、食洗機というのは設置スペースや据付工事というハードルや、価格がそれなりということもあって、導入に思い切りが必要なのは事実だと思う。ただ、導入だけ頑張ればあとは食器を洗う手間から9割方解放されると思えば、QOLを上げる有効な選択肢になると思う。
洗濯機が今ではあって当たり前なように、食洗機も当たり前の家電になる時代に期待したい。
パナソニック 食器洗い乾燥機(ホワイト)【食洗機】【食器洗い機】 Panasonic NP-TH2-W
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「恵方巻き」文化圏の人間として思うこと
昨日は節分だったので、例によって太巻き寿司を食し、豆を撒いた。所謂「恵方巻き」文化圏ではごくありふれた節分の光景だ。今は東京に住んでいるけれども、物心ついた頃からの習慣として続けている。
ちなみに、そもそも地元では「恵方巻き」なんて呼び方は無かったみたいな話をし出すと長いので、ここでは触れないでおく。
*
正直、昨今の「恵方巻き」叩きについては苦々しく思っている。確かに、ここ数年コンビニやスーパーの「恵方巻き」ゴリ押しについてはやり過ぎだと思うし、廃棄後に飼料になるとかの事情を差し引いても、過剰供給は無駄であるし、販売ノルマのような問題も生み出している。そうした商業主義であったり、それを先導してきた一部企業は批判されてしかるべきだろう。
ただ、「節分に太巻き寿司を丸かぶりする」という習慣自体を揶揄する流れについてはどうにも納得がいかない。やれ由来が下品だの、創られた伝統だのと、罵詈雑言が飛び交うけれども、こっちからすれば子供の頃から毎年の伝統行事としてやっていることなのだ。渋谷のハロウィンのように地元民が迷惑するとかならともかく、各家庭でひっそりとやっていることに口を出される謂われは無いはずだ。
*
例えば、お雑煮と御節料理を食べると新年を実感する。例えば、桜餅を食べると春を実感する。僕らにとっての太巻き寿司も、食べると節分を実感するアイテムなのだ。ある人達にとっては、クリスマスケーキとフライドチキンもそうなのではないだろうか。
そうした食習慣に対して、クリスマスケーキはブッシュ・ド・ノエルであるべきだの、チキンでなくて七面鳥であるべきだの、そもそもキリスト教徒でもない者が云々とか文句を垂れるのは的外れだろう。知識として持っていることにはもちろん意義がある。ただ、由来云々は抜きにして、子供の頃からホールのクリスマスケーキとフライドチキンを食べてきた家庭で育ったのであれば、それが彼らにとっての伝統なのである。
*
とはいえ、その地域の内々でおとなしくしていれば良かったものを、全国にゴリ押しされたらいかんのだという点については理解できる。どこの企業が全国に広めようとしたのかは知らないが、地域性というのをもう少し考えてもらいたいものだ。コンビニの肉まんだって、近畿圏では豚まんとして、あんまんに至っては中身も大幅に変えて売っているくらいなのだから、地域の食習慣に合わせた商売はやろうと思えばできるはずだ。
今時は人気があるとなればネットで拡散する時代なのだから、企業は無用なゴリ押しをやめて真摯に商売してくれ。本当に頼む。
*
最後に。「伝統」という言葉を持ち出すと思考停止だと揶揄されがちだけれども、こっちはウェブ業界で日々新しい技術に向き合い、古いモノを壊している立場なので、「変わらない安心感」というアクセントも時には必要なのだ。何事もバランスである。
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爆音上映はオーディオファンをも涙目にするか
ワルキューレは箱推しですが、強いて挙げるならカナメさん最高です。中の人含めて最高です。でも美雲さんも最高です。中の人(以下略)
はじめに
マクロス爆音映画祭が1月24日まで新宿ピカデリーで行われているということで、気になって観に行ってしまった。作品はもちろん、激情のワルキューレだ。
そもそも爆音上映とは
「爆音上映」というと、とんでもない大音量で映画を上映するのを想像するのではないだろうか。実際、僕は元々そうだと思っていた。そもそも爆音上映の認知度が上がってきたのは立川シネマシティのガルパン劇場版あたりからだったので、まぁ砲撃とかの重低音が凄いんだろうなぁくらいの認識だった。
ところが、今回の上映を企画している爆音映画祭のサイトによれば、爆音上映とは「音楽ライヴ用の音響セッティングをフルに使い」「大音響でなければ聴こえてこない幽かな音を聴くという、大胆かつ繊細な上映」であるという。
そしてマクロスシリーズの劇場7作品についても、個別に音響調整を実施しているという。これは一度どんなものか聴きに行ってみても面白いかなと思って、足を運んだわけだ。
筆者の属性について
一応僕の属性について軽く触れておくと、オーディオについては大学時代から15年ほどやっているが、スピーカーとプリメインアンプを1組ずつしか持っていないし、ピュアオーディオに拘っているわけでもないので、オーディオファンの中ではライトな方だと思う。今持っているのはECLIPSEのTD510MK2と、OlasonicのNANO-UA1aの組み合わせだ。元々音楽をやっていたこともあり、モニター的な音と音像定位を重視している。
富士通テン ECLIPSE TD510MK2 ホワイト 10cm口径フルレンジスピーカー (1台)
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Olasonic USB DAC内蔵プリメインアンプ NANOCOMPO NANO-UA1a プラチナホワイト NANO-UA1a
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マクロスΔについては、ワルキューレの音楽作品は全て購入しているし、ライブBlu-rayも2nd、3rd共に購入している。ワルキューレの曲は今でも週に一度は聴いているので、全曲余裕で脳内再生できる。ただ、テレビアニメ版は観たものの劇場版は今回が初めてだ。
実際に聴いてみて
座席はやや後方寄りのド真ん中、最高の場所だった。チケット料金は2,000円。通常上映とそんなに変わらない。
音量に関しては、確かに通常上映より大きめという感じはしたが、暫く聴いている内に慣れるレベルだった。音像定位については調整されているだけあって、普通の映画館の大味なサラウンドとは別次元の立体感を味わえる。ただ、座席位置によってはバランスが崩れる可能性があるので、できるだけ中央やや後方付近を狙いたい所だ。
一方で、なんだかなぁと感じた部分もある。良くも悪くもライヴ用の機材だなという感じで、デジタル系の音やアンプを通すのが前提の音には強いけれども、人の声やストリングス、パーカッション等の音色がどうにも人工的な音に聴こえてしまう。あと、低音の締まりもあと一頑張り欲しかった。このあたりは普通の映画館の音響とあまり差を感じられなかった部分だ。
全体としては、通常上映と比べれば圧倒的に爆音上映の方が音は良い。ただ、自宅にそれなりのオーディオやホームシアターの機器を持っているのであれば、迫力以外は特筆すべきことは無いというのも事実だった。
激情のワルキューレについて
テレビアニメ版のマクロスΔは正直、ワルキューレ以外はそんなに見所が無いと思いながら惰性で観ていた気がする。ただ、劇場版は違った。話の大筋は一緒ながら、ワルキューレを中心に据えて、美味しい所を凝縮しつつ新作カットも大量投入されていて、新たな物語として再構築されている。あと、3Dモデリングでグリグリ動くチェンジ!!!!!は必見。
ワルキューレについては、もうマクロスの枠からスピンアウトして、ワルキューレでシリーズ化してほしいとすら思えてくる。本筋から逸れるのでここでは触れないけれども。
おわりに
今回の爆音上映については、オーディオファンとしては残念ながらそこまでの評価はできなかった。とはいえ、映画館の音として考えれば、普段の映画の音ではない立体感の加わった音響を楽しめるので、一度足を運んでみても面白いのではないだろうか。まぁ、やっている映画館や期間が非常に限定されているのが玉に瑕ではあるのだけれども…。
ちなみに、新宿ピカデリーのマクロス爆音上映祭は、単作品であればまだチケットは取れるようなので、気になる方はお早めに。大阪は2月、名古屋は4月の予定だ。
あと蛇足として、色々調べていたら爆音上映の中でも立川シネマシティはかなり良い機材を使い、「極上音響上映」を名打っているらしい。次はそちらにも足を運んでみようと思う。
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ATOKによる「不快語・表現など」への方針について思うこと
先日このような記事を書いた所、沢山のブコメをいただいた。
その中で以下のようなコメントに多くのスターが付いていたことに気付いた。
さよならGoogle日本語入力、ただいまATOK - 35歳からの中二病エンジニアATOKは「下衆の勘繰り」と書こうとして「下衆」が言葉狩りで変換できなかった瞬間に、こんな恣意的な表現規制をする会社のソフトは使うべきではないと判断した。以来Google日本語入力使ってる
2019/01/13 15:56
当初はそれほど気にしていなかったけれども、後からブコメを見返すと、類似のブコメが幾つも大量のスターを獲得していたので、これは言及しないわけにはいかないと思い、僕自身の意見を述べておこうと考えた次第だ。
結論から言うと
まず結論から言うと、僕自身ATOKの方針に諸手を挙げて賛同するわけではないが、開発元であるジャストシステムを取り巻く環境や社会情勢を鑑みると、妥当な判断ではないかと考えている。
何が問題なのか
ATOKにおいては以前より、所謂「不快語・表現など(公式の表現まま)」に関する語彙を辞書に収録しない方針がとられている。これは、同社FAQでも明言されているため、同社の公式見解と考えられる。
この方針については、以前より一企業が恣意的に語彙を選別することに対する賛否が少なからず存在しており、ATOKの評価には常に付いて回る問題となっている。
変換自体は規制されていない
本件についてまず注意しておきたいのは、ATOKの場合、「不快語・表現など」に関する語彙は標準の辞書に収録されていないのであって、単語登録やユーザー辞書登録を行えば、そうした語彙でも問題なく変換できるという点だ。
これがもし変換自体規制されたり、警告されたりとなると、実用面で問題が出てくることもあろうが、現状その部分はユーザーの自己判断に委ねられているので、無難な落とし所だと考えている。
ちなみに、何らかの事情で「不快語・表現など」に該当する語彙を頻用する場合、ATOK用の放送禁止用語辞書が公開されているので、少なくとも不便さは解消されるはずだ。
他社製IMEよりも選別が厳しいが
他社製IMEではこんなに厳しくは選別されていないというのは尤もだ。これについてはジャストシステムにおけるATOKの立ち位置が大きく関係していると考えている。即ち、
- ジャストシステムが上場企業であること
- 事業として通信教育分野が伸びていること
- ATOK自体が同社の看板商品であること
という点だ。上場企業であり、通信教育分野で売上を伸ばしている中では、もう一方の看板商品であるATOKにおいても青少年やその保護者への配慮が不可欠だということは容易に想像が付く。モンスターペアレントの問題も叫ばれて久しい社会情勢にあって、結果的に現状のような方針にせざるを得ない状況なのではないかと考えられる。
また、ジャストシステムは今でこそ通信教育分野で伸びてきているとはいえ、まだまだATOKと一太郎の会社という印象が根強く残っている。その一角で何か問題が起きたとなれば、会社全体のブランド毀損と凋落に直結し得る。Googleが周辺サービスの1つに過ぎないGoogle日本語入力を失うのとは訳が違うのだ。
こうした状況下で、ジャストシステムが自主規制の側に倒すことには一定の合理性が存在すると考えている。
語彙の選別に問題はないのか
実際どういった語彙が「不快語・表現など」に該当するのかは、非常にデリケートな問題なのでここでは触れない。ただ、個人的に長年ATOKを使ってきた限り、党派性のようなものは特に感じず、地上波のテレビ放送でピー音が入るような語彙が順当に規制されているように見受けられる。
これが極端に党派性を帯びたものであれば、ちょっと待てとなる所だろうけれども、そうした部分については受け取り方に個人差もあるだろうから、実際に使ってみるのが一番だろう。
利点としても捉えられないか
ユーザーにとってはネガティブ要素しか無いようにも見えるこの方針だが、利点もあると思っている。自分が何気なく入力した語彙が、うまく変換されないことで、実は不適切な表現と捉えられかねないということに気付けるという点だ。
実際、僕自身もこのおかげで怪しい語彙を調べて使うのを避けられたという経験が何度かある。逆に、調べた上で問題ないと判断すれば、単語登録しておけば良いだけの話なので、頻発しなければ特段問題にはならないと思う。
おわりに
当然ではあるが、こうした状況を踏まえてATOKを使わなかったり、批判するという選択はあり得ると思う。僕自身、語彙というのは自らの責任で繰り出すものだと思う部分もあるので、必ずしもATOKの方針が正しいとは考えていない。いつの間にか偏った語彙の選別を行うようになっていたみたいなことも無きにしも非ずな方針なので、危険性を孕んでいることには同意する。
ただ、ソフトウェア開発者の端くれとして、あらゆるソフトウェアには開発者の思想というのが含まれているとも常々思っている。伝聞だけで「なんと、ATOKはけしからん」と選択肢を狭めてしまうには、余りにも勿体ないくらいに優れたソフトウェアだとも思う。なので、そうした方針という時点で無理というのでない限りは、実際に試してみて、その思想に考えを巡らすのも良いのではないかと考えて言及した次第である。
今回の一連の記事をきっかけに、少しでもIMEの選択肢について興味を持つ人が増えれば幸いだ。
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さよならGoogle日本語入力、ただいまATOK
僕は1年ちょっと前に、長らく使っていたATOKを離れて、Google日本語入力に乗り換えた。
ありがとうATOK。30年間お世話になりました。
— aikawame (@aikawame) 2017年10月25日
そしてこの度、めでたく出戻りを果たすこととなった。
我慢の限界に達したのでATOKに出戻り。今回はプレミアムにしてみた。
— aikawame (@aikawame) 2019年1月12日
出戻りの背景
ツイートにもあるように、僕は30年来のATOKユーザーだ。一太郎Ver.3(昭和62年発売)の頃から使っていて、人生で一番長く使ってきたソフトウェアなのは間違いない。
ただ、最近ではGoogle日本語入力のユーザーが増えていて、ATOKと比べても遜色ないという話もちらほらある。僕自身はATOKの変換精度に満足していたし、毎月300円払う価値は十分にあると思っていたけれども、他のIMEを使わないままATOKを最高と妄信するのも良くないと考えて、一念発起して乗り換えた。
IMEというのは学習で自分好みになっていくものなので、最低1年は使わないといけないと思った。その間、感心することもあったし、あまりの残念さに悶絶することもあったけれども、結局の所ATOKに戻ってきたということは、僕にとっては残念さが勝ったということになる。
Google日本語入力の良かった所
無料
多分大多数のユーザーにとっては一番大きい所。対するATOKは買い切りか月額300〜500円程度のサブスクリプションなので、IMEがOSに内蔵されているのが当たり前となって久しい現代では、高いハードルとなるのは間違いない。
標準のIMEよりは賢い
WindowsやMac、スマートフォンの大多数のIMEに比べれば、Google日本語入力は圧倒的に賢い。インターネットの集合知をフル活用した予測変換は本当に強力で、よくこれが無料で提供できると感心した。
ATOKの方が良かった所
変換・学習精度が超絶高い
出戻りの一番の理由はこれ。Google日本語入力は、同じ単語を別の文脈で使うと意図した通りに変換されなかったり、簡単な文章なのに正しく変換されなかったりということがしばしばあって、ストレスが溜まった。これは1年以上使い続けても変わらなかった。
また、ATOKは誤用や慣用表現をきちんと指摘してくれるのが良い。Google日本語入力だと正しい表現と誤用表現が一緒に変換候補に出てくることも多いので、混乱する。このあたりはネットの集合知の副作用だろう。ATOKはその点統制されているが、一方で流行語やネットスラングも随時更新されているので、予測変換の強さでは良い勝負をしてくれる。
辞書を他の端末と共有できる
ATOK Passportの場合は環境設定や辞書を複数端末で同期できるので、持っている端末が多い場合は非常に助かる。あと、OSを再インストールした時にも簡単に設定を復元できる。Google日本語入力にも以前は同期機能があったけれども、大人の事情なのか削除されてしまったのが残念だ。
クラウド辞書が充実
ATOK Passportのプレミアムに限るけれども、常に最新の広辞苑が使えたり、入力した文章を8カ国語に変換できたりする。このあたりは類似機能がOSに搭載されていたり、ブラウザー上で行えたりはするけれども、それをIME上でスマートに実現できるのは凄い。
それぞれどんな人に向いているのか
双方のIMEをじっくり使ってみた限り、それぞれ向いてそうな人は次の通りだ。
ATOKが向いてそうな人は、
- 文章を書くことが多い人
- 変換精度を気にする人
Google日本語入力が向いてそうな人は、
- とにかく無料が良い人
- 文章は打てれば良いという人
僕の場合、ブログで普段から文章を書いているし、自分の表現というのを結構意識している部分があるので、学習精度の高いATOKに軍配が上がる。このあたりは人によって感じ方は様々だと思うので、双方をある程度の期間試用するのが一番だと思う。ATOK Passportは一定期間無料で試用できるので、気になる人は試してみると良いと思う。
おわりに
1年ちょっと離れてみて、ATOKの良さを再確認できたのは良かった。伊達に平成の御代を通じて研鑽されてきたソフトウェアではないということを改めて思い知らされる。昭和の終わりに君と出会い、平成の終わりにただいますることになるとは。
次の時代もよろしく、ATOK。
補足
沢山のブコメをいただいたので、少しだけ補足。
ライセンス管理がクソという件。これはぐうの音も出ない。ライセンス管理に限らず、ATOKは歴史あるソフトウェアなので、増築に増築を重ねて内部が大変なことになっている。ユーザーIDとログインIDとATOK Passportのシリアルナンバーがそれぞれ別とか、歴史的経緯を知っていても正直狂気の沙汰と思っている。あと、ATOK Syncにインターネットディスクという化石のようなサービスを使っていたりとか…。このあたり、どこかのタイミングでジャストシステムさんには改善していただきたいと思いつつも、IMEの本質は変換や学習の精度なので、難しい所だ。
あと、予測変換の賢さについては実際に使ってみた方が良い。個人的な感触だと良い勝負だと思うが、分野によっては有意差が出るかもしれない。少なくとも、「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」とか、「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」とか「俺が好きなのは妹だけど妹じゃない」あたりはバシッと変換してくれる。実際に使ってみるの、本当に大事。
最後にSKKについては、僕もEmacsユーザーだった時期があるのでわかるけれども、個人的にはストイックすぎると感じるので、ATOKが使える環境下ではATOKを選びたい所。
あと、「不快語・表現など」に関する内容は次の記事に書いた。
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平成最後の初詣
ここ数年、初詣がパターン化しているような気がするけれども、変化していく人生の中にあって変わらない安心感というのもこれまた良しということで、それほど変わり映えしない初詣の記録を綴っていく。
御礼参り
氏神様である新宿諏訪神社と新宿総鎮守である花園神社へ毎年恒例の御礼参りに。今年は仏教の世界では法輪ナイトと呼ばれる日に参拝して今年1年の無事を感謝すると共に、御神札を頂いてきた。
本当はお伊勢さんまで参拝したいのだけれども(以下略)
新宿諏訪神社
氏神様へ初詣だん。亥年らしく、賽銭箱に盛大な頭突きをかました。 pic.twitter.com/PaydFcfBdM
— aikawame (@aikawame) 2018年12月31日
亥年に限らずちょくちょくやってしまうのだけれども、列ができている時に参拝すると、ついつい前に出て賽銭箱に頭をぶつけてしまう。まぁ、建御名方命は軍神なので、元気があってよろしいくらいに思っておいでだろうと勝手な想像をしておく。
ちなみに、今年はゆく年くる年を自宅でのんびりと観ながら年明けを迎え、そこからの参拝。年を越してからの方が人が増えるようで、去年の1.5倍くらいの行列になっていて少しびびった。それ以外は大体去年と変わらず。御神籤も去年に引き続いて吉。
東京大神宮
東京大神宮へ参拝。日の出と共に参拝する方はやはり多い。 pic.twitter.com/zvi51BafLv
— aikawame (@aikawame) 2019年1月6日
東京大神宮へは仕事始めの7日に参拝。日の出と共に参拝したのだけれども、同じ時間を見計らってか参拝者が多かった。見るからに信心深い方が多い。
花園神社
花園神社へ参拝。こちらはしんと静まり返ってた。佳きかな。 pic.twitter.com/HahilDI2rN
— aikawame (@aikawame) 2019年1月6日
その足で花園神社へ参拝。こちらは去年とは打って変わって静まり返っていた。こんな静かな花園神社へ参るのは初めてかもしれない。早朝参拝オススメ。
明治神宮
会社の事務所が原宿へ移転したので、今年の会社での初詣は明治神宮へ。松の内の明治神宮とか激混みだろうと思っていたけれども、普段の週末よりはまぁ多いな…というくらいだったので、まだ助かった。
あと、明治神宮では初めての昇殿参拝だったのだけれども、御神楽奉納が見事だった。祝詞の奏上に関しては会社が多すぎて大変なことになっていたけれども、そこはそれ。
そして、写真は完全に忘れていた。
おわりに
平成最後の初詣と考えると名残惜しさもあるけれども、今年は新しい御代の始まりでもあるので、各地の神社を参拝したい。そして今年は神宮参拝と出雲詣をやり遂げるのが密やかな個人目標だったりする。
36歳ウェブエンジニアの健康戦略
30歳を過ぎて以降、心身のあちこちにガタが来るようになった。35歳を過ぎると、「放っておけば現状維持」から「放っておくと徐々に悪化」することが増えてきた。そろそろ健康への投資が必要な時期かもしれないと思い、今年やること、やらないことを明確にしておく。
雑な健康プロフィール
- 身長:170cm台前半
- 体重:50kg台前半
- 腹囲:70cm台前半
- 運動量:平日通勤時に1駅歩く程度
- 睡眠時間:7〜8時間
- 食事回数:2回(昼・夜)
健康を考えるようになったきっかけ
ここ1年程の間に、色々と気になることが出てきている。
- 腹が出てきた
- 歯茎が弱くなってきた
- 右腕がよく痛む
腹以外は病院でも診てもらっているけれども、異常は見当たらないらしい。ただ、放っておくと後から苦しい思いをしそうなので、ぼちぼち対策していくかと思ったのがきっかけ。
ちなみに、死ぬことに関しては正直いつでもどうぞと思っている。ただ、苦しい思いをするのは嫌なので、恒常的に体のどこかが痛むとか、そういうのは何とか避けたい。そういった視点で、取り敢えず続きそうなことからやっていこうと思う。
やること
昼食後の歯磨き
今の所は半年に一度、歯科検診と歯石除去は受けていて、特に問題は無いらしい。ただ、加齢によって徐々に歯茎が弱くなるのは避けられないことなので、歯周病を予防する意味でも毎食後に歯を磨くことにした。
ウォーキング
メタボ予防。一応今までも毎日の通勤で1駅分歩いてはいるけれども、全然足りていない気がするので、自宅でウォーキングマシンに乗る。アマプラ等で適当なアニメを1話分観ながらやる。
試すこと
ガム
咀嚼力の維持とか、口臭予防とか、色々。歯にガタが来ると色々やばいというのは各種研究でも明らかなので、やれるだけのことはやってみる。
検討すること
整体
暫く色々やってみても右腕が痛むようであれば、整体に通うことを考える。ただ、新宿近辺で良さそうな所を知らないので調査が必要。
電動歯ブラシ
手磨きでも医師からは問題無く磨けていると言われているけれども、気になるようであれば考える。ただ、元々几帳面な性格なので、手動で問題ないような気もする。物を増やしたくないし。
やらないこと
ジム通い
ジムの更衣室やトレーニング室の臭気が無理なので、絶対に行かない。できて3年くらいのテ○ップネスで、閑散とした時間帯でもダメだったので、まぁ何処へ行っても無理だと思う。
食事制限
食に関しては、そこを我慢するくらいなら死んだ方がマシというくらい優先度が高いので、好きなようにやる。メタボが心配になってくるようであれば、運動量を増やす方向で考える。
おわりに
年の初めに今年の抱負みたいなのはやる気がしなかったけれども、健康に関しては先の見通しがある程度立つので、やっておいて損は無いと思ったので宣言してみた。休日に運動とかも考えたけれども、まずは続けられそうなところからやっていく。
宇宙よりも遠い場所が傑作すぎた(ネタバレあり)
2018年最高のアニメはゾンビランドサガと自信満々に書いてから3日しか経っていないけれども、前言撤回。2018年最高のアニメは圧倒的に「宇宙よりも遠い場所」だった。
丁度去年の今頃、第1話を一応ちらっとは観たのだけれども、主人公のキマリを見て、「あぁ、また空っぽだった女子高生が青春するやつか」くらいの印象でスパッと切ってしまった自分を小一時間問い詰めたい。もう少し粘って、報瀬が出てくる所まで観ていれば継続視聴しただろうに。
まぁ、結果的に遅くなったものの観たので良しとする。
出る杭は打たれても出る話
僕はこの作品を観て、端的にそういった部分に惹かれた。こう感じたのは、僕自身が小中高校生時代に出る杭であり、打たれ続けていたからだと思う。周りに合わせるとか、空気を読むとか、そういう機能が備わっていない人間は、子供達の間では腫れ物扱いされるし、時には教師からも煙たがられる。そして、現実にはそんな風に扱ってくる連中を見返してやるようなチャンスは巡ってこないし、段々とそういう状況に馴れ、擦れてしまう。
けれども、小淵沢報瀬は違った。変人扱いされても、いつかアイツらを見返してやると意気込んで、その結果が南極大陸に上陸して開口一番の「ざまぁ見ろ!」だ。その後、日向の旧チームメイトにぶちかます時も、謝って楽になんかさせるかという、最高に性格の悪いキャラっぷりを発揮してくれて、「よくぞ言ってくれた!!!!」と思わざるを得なかった。
正直、僕は物語を俯瞰して眺めるタイプで、特定の登場人物に感情移入することはほぼ無いのだけれども、この報瀬というキャラクターには完全に心を奪われてしまった。それは多分、自分がやりたいと思っても絶対にできないことを平然とやってのける所にあるのだろうなと。
皆何かしら友達にコンプレックスを持っている
報瀬以外の女子高生3人もそれぞれ友達というものに何らかのコンプレックスを持っていて、物語の中でそれを克服していくのだけれども、これもまた、リアリティーのある話ばかりでありつつも、現実であれば拗れるような話に救いを持たせてくれている。観る人にそれぞれにとっても、どれか一つは心当たりがあるのではないかと思う。
そして、それぞれ抱えたモノのある4人が関係を深めていく描写がまた非常に良い。抱えているモノがあるからこそ理解し合えるという部分は現実世界でも普通にあって、それが物語に説得力を持たせていると思う。
おわりに
この物語、現実世界を懸命に生きているのに、上手く周りとやって行けない、もしくは行けなかった経験のある人達にとって、救いを与えてくれる作品だと思うので、そういう人達は是非観ると良いと思う。
一方で、出る杭を打つ側の人達にも是非観てもらいたい。そして、小淵沢報瀬にコテンパンにされてほしいと切に願う。まぁ、そっち側の人達にはどうせ響かないのだろうけれども。
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今期完走したアニメ達 2018秋
今年最後のブログをこの記事で締めるのはなんだかな〜という気もするけれども、1年の振り返りとか書くのはありきたりすぎるので、気にせずにやっていく。
今期は前期が不作だった反動か、近年稀に見る大豊作だった。最初に挙げる3作品に至っては、今期というか今年最強クラスがどっとやってきた感があるので、今回はリンクも5作品に増やしておく。
ゾンビランドサガ
今年最高に惚れ込んだ作品。アイドルアニメには全く興味無かったけれども、第1話の笑いのセンスがツボすぎて完全に惹き込まれてしまった。その後は普通のアイドル物に落ち着くのか?という不安もあったけれども、ドライブイン鳥で爆発して以降、メンバー担当回から最終話まで、一貫してギャグとシリアスのバランスが絶妙で、かつ良い感じにぶっ飛んでいた。これは2期に期待せずにはいられない。あと、河瀬茉希のイケボには惚れる。ひそまそも良かったし、来年来ると思う。
やがて君になる
今期の百合枠その1にして個人的今年の裏覇権。今年は冬アニメとして放送されたcitrusが似たような舞台設定の百合作品だったけれども、あちらが割と直接的な表現だったのに対して、こちらは良い感じに深くドロドロした感じ。特に沙弥香の存在が良いアクセントになっている。拗れキャラをやらせれば天下一品の茅野愛衣を起用したのも良い(キャスティングで察してしまったけれども)。2期を期待しつつ、原作を全巻買ったのでこれから読んでいく。
- 作者: 仲谷鳰
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2015/10/24
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青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
タイトルで見送ろうかとも思ったけれども、原作が鴨志田一だったので念のため観てみたら見事にハマった。化物語と比較されそうな感じだが、この手の作品は掛け合いのセンスで合うか否かが決まる所があると思っていて、僕の場合は青ブタの方がどストライクだった。ヒロインによって好き嫌いが出るかと思ったけれども、総じて楽しめたし。特に最終話はやばかった。若干駆け足気味で、正直2クールでやってほしかった気もするが、劇場版もあるので楽しみだ。
色づく世界の明日から
音と映像をじっくりと噛み締めたい作品。サウンドチーム・ドンファンとP.A.WORKSの組み合わせは贅沢すぎる。この作品だけはリアタイを我慢して必ずBRAVIAとECLIPSEで鑑賞した。内容については青春〜〜〜という感じで、魔法という要素も手伝って完全にファンタジー作品として観ていた感がある。物語を俯瞰する分にはおじさんにも楽しめるけれども、感情移入しやすい人は要注意。あと、最終話はずるい。もはや映画。
あかねさす少女
近年珍しいような気がする、良いB級アニメ。ドタバタコメディーから始まって、お約束の担当回に、きっちり第6話で入れてくる水着回、そして徐々にシリアス展開に振っていくという、前世紀のお手本のような構成。アニマックス20周年記念作品ということなので、狙ってやったのかもしれないけれども。あと、黒沢ともよが噺家みたいにキャラを変えるのが凄いので、一見の価値あり。
うちのメイドがウザすぎる!
今期の百合枠その2。やが君がリアリティーに全振りしていたのと正反対で、こっちは完全なファンタジー。百合枠というよりはギャグ枠で捉えた方が良さそうな感じ。元自衛官2匹の言動を笑い飛ばせるかで賛否両論出てきそうな、結構危うげな作品でもある。沼倉愛美はハマり役だったと思う。
宇宙戦艦ティラミスII
相変わらず頭の中をカラッポにして馬鹿笑いできる良作。SFやロボットアニメのパロディーが随所に散りばめられているので、その辺の素養の有無によって面白さが大きく変わってきそう。真面目そうな人も居るけれども、基本的に登場人物は全員頭のネジが外れていて良い。
ゴブリンスレイヤー
最近になってから、硬派なファンタジーっぽくて気になったので、アマプラで一気に観た。蓋を開けてみれば主人公が朴念仁なだけで、内容的には硬軟入り混じってたけれども、俺TUEEEE系では無かったので最後まで観られた。
殿堂入り:新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION
もはや伝説。唯一残念なのは、佐倉綾音がハヤトに付きっ切りで他の作品に出演する機会が減ってしまったこと。まぁ、その分シンカリオンであやねる分を補給しよう。
おわりに
今期は当初から大豊作の予感はしていたけれども、正直ここまでとは思わなかった。直近5年ほど振り返っても、1クールにこれだけ面白い作品が集中していたことは無かった気がする。逆に、そんな3ヶ月が終わってしまったのは少し淋しい。あと、今期の東山奈央無双は本当に凄かったのと、青ブタの鉄道描写は見惚れるほどにマニアックで良かった。
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青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない 1(完全生産限定版) [Blu-ray]
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二度の精神疾患から這い上がり、意識高い系をやめた
僕は今までに二度、適応障害に掛かっている。今年1年過ごしてみて、漸く当時の状況を客観的に考察できるようになってきた(とか各所そろそろ時効だろうと思ったりする)のと共に、その前後で仕事に対する考えが大きく変わった部分があったので、つらつらと綴っていこうと思う。
わりと意識高い系だった
別に近年の揶揄する方の意味合いは無く、かつての僕は割と意識高い系の人間だったと思う。切っ掛けこそ不純な動機(好きなエロゲーのソシャゲ化の話)ではあったものの、黎明期のソシャゲ業界に飛び込み、意識の高い旬のスタートアップを渡り歩いてきた。ハードワークをこなしつつウェブエンジニアとしての技量を上げ、勉強会で登壇してみたり、グループワーク型インターンのメンターをしてみたりということもあった。週末起業的なことをやっていた時期もある。
当時は20代から30そこそこという若さも手伝って、外に出て情報発信することや、ガッツリ働くこと、ガッポリ稼ぐことが正義と信じて疑っていなかった。元々プログラミングが好きだったので、業務で長時間コードを書くことについては苦にならないので、余暇が無くても気にしていなかった。
メッキが剥がれてボロボロになった
比較的ハードワークかつ意識の高い職場で仕事する中で、無意識下にストレスが蓄積していたのだと思う。そこに、急激なストレスが加わってまともな生活を送れない状況になってしまった。何があったかは触れないけれども、二度ともこのパターンだった。
治療は一筋縄では行かなかった。抑鬱を伴う適応障害だった上に、それもASDの二次障害として発現したものと判ったためだった。それでも、復帰を焦ったので医師の薦めよりもかなり早い段階で職に戻った。これは今にして思えば、完全な誤りだった。
会社には復帰したものの、全く本調子にはなっていなかった。周りも無理はするなと言ってはくれる。ただ、職場の高い温度感というのは伝わってくる。それに釣られて自分も早く元に戻らなければと思うのだけれども、思えば思うほど精神が追い込まれて余計に動きが悪くなっていく。
当時は自分を客観視できていなかったので、只々藻掻いていたという感覚だったけれども、今にして思えば明らかにおかしかった。楽しかったはずのコーディングが怠い。当たり前に書けていたアルゴリズムが出てこない。簡単なはずのコード修正でミスを連発する。そういう状況が退職するまで続いた。
退職する時の表向きの理由はそれぞれあったけれども、裏側の理由というのは一緒で、「精神的に詰んだから」。自分では頑張っているつもりなのに、結果も評価も付いてこない。しかもそこに居続ければより厳しい状況になることが見えていることに耐えられなくなってという感じだった。
今の会社へ転がり込んで1年半経った
その後今の会社と巡り合い、入社してから丁度1年半になる。ウェブ系のスタートアップにしては大人しいメンバーの多い会社で、内に秘めたる思いは各々あるにせよ、外面的な温度感は決して高くないと思う。少なくともエンジニア陣は「週休7日欲しい」みたいなことを言っているメンバーばかりだ(勿論ネタですよ、知らんけど)。
ただ、長らくメンタルをやられていた僕にとってはそれくらいの温度感が何とも丁度良かった。おかげで精神状態は完全に回復したし、意識の高いスタートアップでキリキリ働いていた時よりも、今の方が余程コスパ良く働けている。勉強会には全く行かなくなったし、会社内のコミュニケーションすら以前に比べればガクッと減ったけれども、元々コミュ障なのでそういったことも精神衛生上は良い方に傾いている。
あと、業務時間が減った分、余暇に趣味のプログラミングやブログの執筆ができるようになった。初めての海外旅行もできた。余暇は自分の本当にやりたいことができるので、結果的に仕事一本でやっていた時よりも色々な知見を身に付けられているように思う。周りのメンバーを見ても、「労働だるい」と言いながらきっちり仕事をやってのけ、趣味も豊かという人が多い。
何よりも良かったのは、僕はプレッシャーのある環境よりも、程良く放置されている環境の方が力を発揮しやすいタイプだと確信できたことだった。そもそも僕はガッポリ金を稼ぎたいとか、名のある企業でのし上がりたいとか、そういう欲によって働いていたわけではないので、わざわざ自分を追い込んでまで働く必要性というのは高くない。なのにそんな環境に身を置いて、結果が心身を壊しました…では洒落にならない。もしまた転職することがあったとしても、意識の高い会社は避けるだろう。
意識低い系でええじゃないか
見る人が見れば、僕のような人間は豆腐メンタルだったり、落ちこぼれだったり、意識の低いゴミだったりするのかもしれない。ただ注意しておきたいのは、意識が高かった所で、そんなものは1円にもならないことだ。逆にそれで評価が変わるような会社があったら色々とやばい。我々が評価されるべきはただ一点、会社が求める成果をどれだけ出したかに尽きる。極端な話、毎晩家で3時間勉強して業務でまともに動くコードも残せないエンジニアと、毎晩Twitterで「働きたくないでござる」を連呼しながら業務でイケてるサービスをバンバン出すエンジニアであれば、後者が評価されるのは当然だ。
翻って界隈を見渡すと、ブログ等で発信力を持っている人達は総じて意識高い系に偏っている気がする。意識の高い人がそれに付いて行くことについてはどうぞどうぞと言いたいのだけれども、一方で多くの人達は決してそうではないと、過去の経験上思っている。
僕のように精神ぶっ壊れるまで行ったのは極端な例かもしれないけれども、様々な事情で働くのが辛かったり、働くのが怠かったりしたとしても、別にええじゃないかということは声を大にして言っていきたい。そう言いながらもきっちり成果を出す人は沢山居るし、それなりに頑張って、それなりに稼いで、それなりに遊んで、それでそれなりに幸せなら人生万々歳ではないかと思う、アラフォー間近のおじさんの呟きである。
そろそろ空から5000兆円降って来ないかな。