35歳からの中二病エンジニア

社寺・鉄道・アニメを愛でるウェブ技術者の呟き

SIMフリー版Xperia 1 IIは久々の神機だった

Xperia XZからSIMフリー版Xperia 1 IIに乗り換えて暫く使ってみたが、これは久々にソニーファンとしてもニッコリな機種だったので応援がてらレビューしておきたい。

ここ数年の残念XperiaからのウルトラC

ここ数年はXperiaや3大キャリアに度々失望していたのは過去の記事の通り。指紋認証が背面に移ったりとか大きく重くなったりとか、意味不明な迷走をしているようにしか思えなかった。

aikawame.hateblo.jp

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…が、Xperia 1のあたりから復活の兆しを見せ始め、それなのにXperia 1 IIのau版から紫が消えるという事件に打ちのめされ、今度は一転、まさかのソニー自らハイエンド機を販売するという歴史的転換を果たしてくれたので、迷うことなく限定モデルのフロストブラックを予約した。

SIMフリー版のメリット

既にキャリア版を買った人達からの恨み節はあちこちから聞こえてきたけれども、そこはソニーとしても半年の期間を置いたことで誠意を見せている?ということにしておきたい。その一方で、ソニーから出るSIMフリー版ではストレージが256GB、メインメモリーも12GBとグローバル版をも超える仕様となっているので、キャリア版から半年後というのを差し引いても魅力的な選択肢となっている。

そして、特筆すべきなのはSIMフリー版限定のフロストブラック。

これは写真の通り単なる色違いではなく、背面が磨りガラスになっていて、そこだけ光沢を残す形でSONYロゴを浮かせるという美しい加工がされている。磨りガラス加工だけであればXperia Z5でもあったので挽回という感じではあるけれども、このロゴの加工が美しすぎる。これだけでも持っていてニヤニヤしてしまう出来の良さだ。まぁ、側面もサラサラなのでフロストブラックは手から滑り落ちないか心配が増えるというデメリットはあるけれども、今の所は落としそうになったとは無いので大丈夫だろう。知らんけど。

Xperia XZ2でボロクソ批判した件の回収

Xperia XZ2について僕がボロクソ批判した点については以下の通り。

  • ランチパック
  • イヤフォンジャック廃止
  • 指紋センサーの背面移動
  • 重量の大幅増加
  • カメラの出っ張り

この内、カメラの出っ張りは他社含めもはや改善は望めないと諦めかけているけれども、それ以外は全部改善された。特に指紋認証については、Xperia XZの時は手が湿っていたり逆に乾燥していたりした時になかなか認識してくれず、精度の面でどうしてもTouch IDに劣ると言わざるを得ない状況だったけれども、今回のXperia 1 IIは違う。良い感じに認識されるまで何度か登録し直しは必要だったが、一度「これだ!」という感じで登録すると手の状態に関係なくバシッと認識してくれる。その上、電源ボタンを押し込まなくても触れるだけでホーム画面が表示されるようになっていて、これにはちょっと感動した。

ソニーらしさ

Xperiaの良さはと訊かれたら、カタログスペックでは見えない部分の作り込みだと思っている。それは先述の背面加工や指紋認証一体型電源ボタンもそうだけれども、他にも色々ある。

画質や音質、そしてカメラの絵作りについてはもはや言うまでも無いだろう。このあたりはZシリーズの頃から他社とは一線を画していて、迫力や派手さみたいなものよりも、リアリティーを重視したチューニングになっているように感じる。Xperia 1から登場したクリエイターモードはその最たるものだろう。色温度は低くなるのでテレビの標準画質に慣れていると違和感を持つかもしれないが、色の再現度という意味ではスマートフォンとは思えない仕上がりになっている。スピーカーの音質についても、Xperia XZ1の頃にはこれ以上無理だろうと思っていたレベルをまた超えてきた感がある。やはり物理的に対称配置されたスピーカーは定位が良い。カメラについては、標準のカメラでは適当に撮ってもよしなに調整してくれるコンデジ的な手軽さがある一方、Photography Proはもはや完全に一眼レフカメラという感じ。これはどちらかではなく使い分けるのが正解だろう。僕は写真については疎いので、基本は標準のカメラに甘んじている…。

売れるのか

これが売れるのかというと、ソニーファンやクリエイター層、音や映像・写真に興味のある層には受けるだろうが、万人にヒットすることは無いだろうなというのが正直な感想ではある。

ソニー自身、インタビュー記事でも尖った製品を届けていくと公言していたので、最初からターゲットを絞ってそこに向けて特化した端末を作ったのであり、個人的には歓迎したい姿勢だ。ただ、そのために価格が犠牲になった感はやはり否めない。スマートフォンにそこまでの品質を求めない人達からすると、海外メーカーなら7~8万円程度で買えるスペックの機種に13万円超はちょっと高すぎるとなるだろう。

とはいえ、無難に纏めた機種を出されても海外メーカーに価格で太刀打ちできないのは明白なので、この路線は正解だと思う。10万円台前半であればiPhoneの上位機種とは似たような価格帯なので、今の時代であればハイエンド機種に興味を持つユーザー層としては容認できるレベルだろう。実際僕も、本当に良い物であれば高くても買いたいと思う方なので、価格についてはそこまで気にしなかった。そういう人達に支持されて、小さく纏まりつつも黒字を維持しつつ事業が存続してくれればと思う。

一応不満点

不満点については…無いわけではない。

一番は画面サイズとワイヤレス充電のトレードオフだ。僕は小さい端末を持ちたいし、ワイヤレス充電も欲しい。ただ、小型のXperia 5系だとワイヤレス充電に対応しておらず、Xperia 1系の大きさだとズボンのポケットからはみ出てしまう。こればかりは何とかならないものかと思う。

例えば、もう少し分厚くても良いからXperia 5系をワイヤレス充電に対応させられないものだろうか。そうすればカメラの出っ張りも押さえられて一石二鳥のような気がするのだけれども。個人的には、カメラの部分だけ出っ張るくらいなら全体を分厚くしてくれた方が余程良いと思っているので、「カメラの出っ張りは作らない」と断言していた以前のXperiaチームに戻ってもらえないものかと密かに願っている。

あとは…意外と今回は不満点と言えるものは無いかもしれない。額縁については僕はノッチやパンチがある方が嫌いなので今のままが良いと思っているし、音量ボタンがXperia XZからだと電源ボタンの上に移動したのは、慣れの問題だと思っている。強いて言うならメインメモリーが増えたことでバックグラウンドアプリが爆発的に増えるので全て終了するボタンを手前に持ってきてほしいとか、そういう細かい部分くらいだろうか。21:9の画面比周りも含め、本当に良く出来ていると思う。

おわりに

あんなに紫が無いとガッカリしていたXperia 1 IIだったけれども、フロストブラックの美しさにコロッとやられてしまった。元々SIMフリー版の方がキャリアのゴミアプリが無くて気持ち良いしと思っていたので、ソニーがSIMフリー版のハイエンド機種を出してくれるようになって本当に良かった。

僕はジョグダイヤルの愛用者でもあったので、指紋認証一体型電源ボタンが無くなった時はまたかと失望したけれども、挑戦的な機能を搭載して失敗して、それでも精度を上げて復活させてくれるソニーには毎度シビれる。まだ暫くは普段手に持つアイテムとしてスマートフォンは重要だろうと思われるので、ソニーには何とかスマートフォンの事業を継続してほしい。今回ちゃんと2台分お布施もしたので何卒。