35歳からの中二病エンジニア

社寺・鉄道・アニメを愛でるウェブ技術者の呟き

選挙カーの音量が聴覚過敏の耳に辛い

統一地方選挙ということで、巷では選挙カーが走り、街頭演説が盛んに行われている。ASD由来の聴覚過敏を有する僕にとっては憂鬱な1週間の到来だ。

そんな中、これまた残念な目に遭遇したので記録しておく。

耳元で大音量を流す選挙カー

先に断っておくと、選挙カーに走るなと言うつもりは無い。その点については現時点で合法なので、選挙期間中だけの辛抱だと思うしかない。まぁ、街頭演説と違って選挙公報以上の情報はまず得られないので、法令の方を変えて規制すべきでないかとは思うけれども。

そんなことを悶々と考える日々が続いたある日、いつものように自転車通勤していると、1.5車線の狭い生活道路を選挙カーがこちらへ向かって徐行してくる。思わず耳を塞いだのだけれども、選挙カーはこちらの様子を全く気にも留めずに名前を連呼してくる。こっちは気が動転して、逃げることもできずにただ走り去るのを祈るしか無かった。久々に音に殺されるような感覚を味わった。

聴覚過敏とはいっても、鉄道駅の案内放送程度であれば大丈夫だし、救急車両とかのサイレン音は人の声でないせいか気にならないので、普段はイヤーマフとかの対策は必要無いのだけれども、さすがに1.5車線の路地では避けることもできず、そこに耳元で拡声器を使って叫ばれたら敵わない。通常聴覚の人でも喧しくて辛いのではないかと思う。

人前で拡声器を使うのは罵声とどこまで違うか

今でこそ職場等での罵声はパワハラとして認識されているけれども、それは大きな声が人に恐怖感を植え付けるからであって、人前で拡声器を使うのも音量だけならむしろ罵声を凌駕しているわけで、これは果たして許されるものかと疑問に思う。罵声と違って内容が相手を罵倒するようなものではないとはいえ、耳をつんざくような大音量はむしろ精神的というより物理的に鼓膜に響いてくる。

「人前で拡声器を使ってはならない」みたいなルールを作り出したら、それこそ「人前で放屁してはならない」は?みたいな馬鹿馬鹿しいことになるので、このあたりはモラルの問題になってくるのかもしれないけれども、選挙カーはその候補者に票を入れてほしいから走っているわけで、それがモラルに反する言動によって票を失うとすれば本末転倒なのではと思わずにはいられない。せめて狭い道で人とすれ違う時くらいは静かにしてくれと思うのだけれども、どうしたものだろう。

そもそも公選法違反の選挙カーが多すぎる

そもそもの問題として、件の選挙カーに耳をやられた場所は大学の真裏で、100m以内に別の小学校・中学校も密集しているような所なので、完全に公選法に抵触していると思われる(第百四十条の二)。その時は身を守るのに必死だったので、候補者の名前は確認できなかったけれども、もし確認していたら苦情を出すレベルだと思う。

あと、走行中に演説する選挙カーもよく見掛けるけれども、実際にはこれらも公選法に抵触している可能性がある。第百四十一条の三によれば、停止中は演説可、走行中は不可(ただし名前の連呼を除く)とのことだ。走行中の選挙カーが名前だけひたすら連呼していることが多いのは、そういう法の縛りがあるからだという一方で、その遵守についてはかなりなぁなぁという残念な実態があるようだ…。いやいや、この法律自体どうなんだというツッコミもあるけれども、それはまた別の話。

おわりに

今回の件に関しては、僕はマイノリティーに属するわけで、そこは是非ともリベラルを謳う政党に頑張っていただきたいところなのだけれども、残念ながら選挙カーに関してはどの政党の候補者にも広く活用されている。党として「選挙カーは使いません」と宣言するような既成政党が出てくれば、(政策が重要なのは大前提として)ちょっと気になる存在になるような気もするのだけれども、はてさて。

令和を目前に控えるこのご時世に、いつまでこの選挙カーという昭和の遺産は残り続けるのだろうか…。