35歳からの中二病エンジニア

技術や時事ネタ、鉄道・社寺巡礼など趣味の話を綴ります。

冴えない彼女の育てかたを全巻読んだ

コミケでサークル入場者が「見ろ、人がゴミのようだ!」と言っているのを見ると「フ…貴様もこの世界からすればゴミのようなもの…」と心の中で呟いてしまうaikawameです。ごきげんよう

はじめに

ネタバレは無しの方向で。

冴えない彼女の育てかた、通称冴えカノ。僕にとっては今の所唯一まともに読んだライトノベルだったりする。そっち系の趣味というと、20代まで所謂美少女ゲー(というかエロゲーですぼかしてごめんなさい)をちょくちょくやっていたくらいで、今は基本的にアニメ専門という感じ。アニメ繋がりだと、漫画原作ならば面白ければ読むことはあっても、ラノベ原作となると時間的な所で中々手を出せずにいた。

そんな僕がアニメ1期でどハマりして全巻読破、しかもコミカライズ3ルートまで全て網羅するくらいなので、冴えカノは凄いと思う。最終巻を買ってから暫く経つが、漸く踏ん切りをつけて読み切ったので、つらつらと思うがままに綴っていく。

何が良かったのか

冴えカノが僕の琴線に触れた所は2点あって、作品全体がエロゲーの文脈で綴られていることと、同人活動を主題にした作品であるということだ。

前者については、作者の丸戸史明先生がそもそもエロゲー畑の方で、しかも蛭田信者という筋金入りなので、さもありなんという感じがする。エロゲーというと僕らの世代だと葉鍵が鉄板だけれども、僕はあの手のあざとさは若干苦手で、それよりも初期蛭田作品のようなドタバタコメディーと重厚なドラマが入り交じったような作風を好んでいたりする。そういう意味では、冴えカノの主人公は底抜けにバカで妙に熱いあたり、ドンピシャなのだ。どこかの鳴○孝○君とは正反対だな…。いや、○ge作品は好きだけれども。

閑話休題

後者については、完全に個人的な理由になるけれども、僕自身も20台の頃同人活動をやっていたことが大きい。色々あってエンジニア業に集中することにはなったけれども、締切前の修羅場感とか、コミケ出展の高揚感、あとはクリエイターの矜持など、当時があったからこそ共感することばかりだった。

特にクリエイターの心情表現が熱い。クリエイターの世界を扱う作品としては直近だとSHIROBAKOが有名だけれども、あれはどちらかと言えば叙事的だと思う。というか、そう思えるくらいに冴えカノがドロドロとしたクリエイターの内面をよく描いているのかもしれない。特にアニメや原作準拠コミカライズで描かれていない先の話に至っては、一般人からすれば狂っているとしか思えないような、狂いすぎていてファンタジー扱いされそうな場面が出てくる。

でも、クリエイターの世界に足を突っ込んだ人ならわかるのだろうけれども、あの世界は創作があらゆる他の事象に優先するという意味では確かに狂っていると思う。そういう人達の生々しい心情表現をラブコメに混ぜて一つの作品に昇華しているのが、冴えカノの凄い所だ。

創作とは何なのか、才能とは何なのか

僕は、創作というのは公開オナニーだと思っている。少なくとも同人界隈においては。だってそうだろう、純粋に自分が理想としているものを形にして世に出して、それによって満足を得ているのだから。R-18の同人誌など、「私はこういうシチュエーションでの絡みが一番抜けます」と宣言しているようなものだ。そして、その公開オナニーの持続力こそが才能だと思っている。これ、割と真面目な話。

冴えカノは、まさにこういったクリエイターの本質的な部分を緻密に描くことで、創作とは、才能とはという問いに対する答えをそれぞれの登場人物を通して表現していると思う。巷ではキャラが皆頭おかしいとかキ○ガイとか言われて久しいけれども、これもまた、普通の神経ではガチの創作なんて出来やしないことを示唆しているように思えてならない。実際の同人の世界にも、頭のネジが何本か抜けたような人がわんさかいるし。しかも、そういう人ほど凄い作品を作っていたりするから、あの界隈は面白いし、だからやっぱり創作はイカれた行為なのだ(異論は認める)。

そんな世界をリアルに描写しているから、冴えカノもまた面白いのだ。

少しだけ自分の話

少しだけ自分の話をすると、僕の場合は同人活動において、持続力が足りなかったと思う。創作自体は好きだったとしても、すぐスランプに陥って、プログラミングの方に浮気して、なかなかネタが出なかった。しかも、作品を創ることだけでなく、サークルの運営も好きだったので、ガチで創作一筋の人達に敵う訳が無かった。いや、別に同人なので誰に勝つとか負けるとかは無いのだけれども、それでも本業以外の時間の大半を割いてやるだけの価値があるのか?と自問した時に、最終的には余暇も含めてエンジニア業に集中すべきだという結論になった。

今でもこの判断は正しかったと思っている。というのも、僕にとってはエンジニア業も創作なのだ。公私含めて。しかも、同人でやっていた時よりもスランプは短い(それでもあるが)し、他に浮気するようなものも無い。晴れて自分もガチで創作一筋の人になれたというわけだ。まぁ余暇に鉄道旅行したり社寺を巡っていたりはするので、キチ○イクリエイターの域には達していないと思うけれども、そこが才能というやつで、僕は余暇を100%プログラミングに注ぎ込む才能は無いというだけのことだ。それは多分自分でも制御し切れない部分なので、あとは代わりに与えられた「器用貧乏」という才能を活かしていくということになるのだろう。

とは言いながらも、どこかでまだ、本物のキ○ガイクリエイターへの憧れがあるから、冴えカノに惹かれるのだろうな。

おわりに

冴えカノはライトノベルという形での刊行だし、表面上はゆるいラブコメなので、SHIROBAKOであれば手に取れた層でもこれはさすがに…となりがちかもしれない。でも、冴えカノは読めば読むほどクリエイターの光と闇の世界に引き込まれていくこと間違いないので、あの世界に興味のある方は一度読んでみると良いと思う。ちなみに、僕はこの作品の真骨頂は後半部分だと思っているので、アニメやコミカライズではなく原作をお薦めしておく。

ちなみに、僕の推しは紅坂朱音です。