35歳からの中二病エンジニア

社寺・鉄道・アニメを愛でるウェブ技術者の呟き

失業したらiDeCoの落とし穴にハマった件

僕は金策の一環でiDeCoを活用している。この制度が年金と関連しているのは契約時にざっくり把握していたつもりだけれども、失業状態を挟んだ転職でえらい面倒なことになってしまったので、備忘録がてら内容を書き記しておく。ちなみに、僕が加入しているのはSBI証券iDeCoだが、制度的な部分は共通なので他社でも概ね同様と思われる。

TL;DR

  • 国民年金の納付免除期間は、iDeCoの加入者資格を失う
  • 失業期間を経た転職時は、iDeCoの変更申請を2回、書面で手続きする必要がある
  • 何もしないと、資格喪失中の掛金が手数料を差し引かれた上で還付される
  • 手続きにはタイムラグがあるので、還付を避けたければ銀行側で口座振替を解除すべし

会社都合での退職

今年の9月30日をもって、前職の会社を退職することになった。これは会社都合の退職だったのと、転職先がすぐには決まりそうもないということで、一旦失業状態になることによる諸々の手続きをやっていった。書き出すと以下の通りだ。

やること 場所 必要書類等
厚生年金から国民年金への切替 市役所 退職証明書類
社会保険から国民健康保険への切替 市役所 健康保険資格喪失証明書類
雇用保険(失業保険)の給付申請 ハローワーク 離職票
国民年金の免除申請 年金事務所 雇用保険受給資格者証
国民健康保険の減免申請 市役所 雇用保険受給資格者証

本題はiDeCoなので詳細は省くが、役所手続きが苦手な人からすると、これだけでも目眩がするのではないかと思う。ただ、僕は使える権利は行使したい方なので、一般的な失業時の補助3点セット(雇用保険・年金免除・国保減免)は全て申請することにした。まぁ、この時点で既に落とし穴にハマっていたのだが、当時の自分はそんなことを知る由もなかった…。

iDeCoの控除証明書が届く

落とし穴に気付いたのは、国民年金基金連合会から掛金控除証明書が届いた時だった。これ自体は確定申告のための掛金記載が目的なのだけれども、葉書の中に「こんなときには届出が必要です」という文言があったのを見て、そういえば退職したから届出が必要なのだったと思い出すことができた。

僕の場合は、丁度この葉書が良いタイミングで届いたので手続き漏れになるのを免れたけれども、そういうことが無かったり、届いても中身をしっかり確認していなかったら、転職時に銀行やカード会社へ届ける時まで放置して、もっと厄介なことになっていただろう。何はともあれ、証券会社に連絡だ。

自らの無知を嘆く

実は、この時点で転職先は内定していたのだけれども、SBI証券のFAQを見る限りでは一旦無職になってからの転職というケースが無かった。自分で見繕って資料請求して書類不備になるのも不安だったので、サポートデスクに問い合わせることに。そこで(当時の僕にとっては)驚愕の事実を知らされる。

なんと、国民年金の納付免除期間はiDeCoの加入者資格を失うということなのだ…。しかも、その間に掛金が口座振替されてしまった場合、2,148円という地味に痛い手数料を差し引かれた上で還付されるということだ…。毎月の掛金の1割近くやんけ。

このことは、iDeCoが年金制度の上に乗っかった制度ということからすると当然のことであり、勿論規約にも明記されている。なので全面的に僕が無知なことによる自業自得だ。ただ、失業時の各種申請は流れ作業的にやってしまいがちなので、見落とされやすい落とし穴なのではないかと思う。

そして手続きの煩雑さに絶望

さて、国民年金の免除を今更撤回する気は無いので、粛々と手続きをやっていくしかない。というわけで、今回のような退職からの国民年金免除からの転職という場合の手続きについて、サポートデスクの方から案内してもらった。いやはや、面倒すぎる。

  • 加入者被保険者種別変更届と加入者資格喪失届の書面を取り寄せて提出する(国民年金保険料免除・納付猶予申請承認通知書のコピーを添付)
  • 約1ヶ月後、掛金の拠出が停止されていることを加入者が自ら確認する
  • 新規加入時と同様の手続きを行う

…と、ここで幾つか疑問が。

まず、今回の場合は加入者資格喪失届が先方に届く頃には、既に転職しているということになる。であれば、転職時の手続きだけで済ませたりショートカットできないかと思ったのだけれども、これは不可ということで、必ず加入者資格喪失届が受理されてから、その先の手続きに進む必要があるということだった。

次いで、加入者資格喪失届が受理されると掛金の拠出が停止されるのだが、これを加入者が自ら加入者サイトや電話等で確認するという点。これも引っ掛かったのだけれども、既に転職先で働いているからと、確認を待たずに加入手続きを行った場合、書類不備として容赦なく差し戻されるらしい。それくらいよしなに対応してくれないものかと思ったけれども、後述の理由で黙って頷くことにした。

最後に一番厄介なこととして、国民年金保険料免除・納付猶予申請承認通知書が届くのは免除申請から2~3ヶ月後ということだ。遅ければ年が明けてしまう。その間加入者資格喪失届を提出できないということは、つまり掛金は毎月口座振替されて、手数料を差っ引かれて還付の憂き目に遭うということだ。早く手続きしないと還付になるのに、手続きに必要な書類がずっと後に届くって、これ制度のバグなのではないか…と思いつつも、やはり後述の理由で黙って頷くことにした。ちなみに、還付については必ずしも毎月とは限らず、一定期間分纏めてとなる場合があるが、保証はなく、また年を跨ぐと分割される可能性が高いとのことだった。

SBI証券サポートデスクの神アドバイス

ここまで尋ねると、察しの良いSBI証券のサポートデスクさん、「銀行側で口座振替を停止すれば、掛金の拠出は停止され、還付も発生しなくなる」ということを案内してくれた。すごい、こんな面倒な問い合わせをしている中で的確なアドバイスだ。口座振替の停止って、こういう場合でも可能なのか。

ここで、先方から口座振替の停止を案内してもらったというのは重要なので注意されたい。というのも、勝手にこちらの判断で口座振替を停止するというのは、iDeCoを扱う証券会社等も国民年金基金連合会も承知していないことになるので、完全に禁じ手だ。また、銀行側も口座振替停止の条件として、収納企業側の承認を条件としている場合が多いため、いずれにせよ証券会社等との擦り合わせをしておく必要がある。

というわけで、口座振替に指定している住信SBIネット銀行に説明の上、停止を依頼して無事に還付を回避。超絶面倒な流れではあったものの、金銭的なロスは生じることなく転職後のiDeCo復活までの道筋が見えてきた、というのがイマココである。

おわりに

つみたてNISAと同じ感覚で始めたiDeCoだったけれども、NISAが証券会社内でほぼ完結しているのに対し、iDeCoは年金制度と密接に関わっていて面倒事が多いということを今回の出来事で痛感した。iDeCoに加入していて、退職して国民年金免除、その後転職という流れは、近年ではそう珍しくないパターンだと思われるし、国民年金の免除が無くても手続きの面倒さは残る。

制度の仕組みを細かく把握しておくのは面倒だと思うけれども、iDeCoと年金は絡み合っているということだけでも覚えておくと、いざという時に「あぁ、年金絡みか」と思い至れることがあろうと思われるので、iDeCoに加入している方は参考にしてもらえれば幸いだ。

しかしiDeCo、ITエンジニアとかの転職多い職種には全くもって向いてないなぁ……。

補足1. SBI証券に文句を垂れなかったワケ

僕がiDeCoの仕組みについて無知だったことは置いておいても、各種届が全くオンライン化されていないとか、融通が利かない部分が多いとか、タイムラグがやたら長いとか、元々必要な手続きに不便な点が多すぎることは否めない。ただ、これをSBI証券のサポートデスクに対して言わなかったのは、恐らく不便な原因の大部分が国民年金基金連合会の側にあると推察されるからだ。

実際、申請書類は大部分の情報がSBI証券の側で打ち込まれているし、サポートデスクの方はこちらの質問の意図を的確に察知して回答してくれる。現状見えている不便な部分というのは、国民年金基金連合会と遣り取りする上で避けられない部分に見えて仕方ない。iDeCoの加入者サイトがSBIベネフィット・システムズという別会社になっているのも、確定拠出年金という制度に乗っかっていることによる所かもしれないが、そこまでいくとさすがに邪推が過ぎるか…。

何にせよ、他のSBI証券のサービスは良く出来ているのにiDeCoだけ面倒なのには何かしらありそうだ、ということで黙っていた次第である。

補足2. 年金の免除申請早くない?

これは尤もな疑問で、僕の場合は離職票が届いたのが10月11日、本来なら雇用保険受給資格者証を受け取るのが4週間後の11月8日で、年金の免除申請はそれから行うはずだ。

実は、今回は転職先での業務開始が11月8日よりも早まる可能性があったためハローワークに相談したところ、先に資格者証だけ受け取れることを知った次第だったりする。通常通りの流れであれば、免除申請の前に落とし穴に気付けただろうけれども、その時は年金免除のメリット・デメリットで悩むことになっただろうし、正直どっちもどっちだったような気がする…。