東京に出てきて以来、マスクさえ着けていれば花粉症に悩まされることは少なくなったと思っていたが、ここ最近はマスクを着けても辛い時期が出てきた。
花粉症は仕事や日常生活にも大きな支障が出てしまうので、ここらで根治を目指そうかと舌下免疫療法(減感作療法)を始めることにした。療法についての詳しい内容は専門のサイトが幾らでもあるので、ここでは実際にやるぞとなってからの流れや、素人的に気になったことを書いていきたい。
舌下免疫療法とは
一応ざっくりと触れておくと、アレルゲンを含む治療薬を舌の下に1分間保持して飲み込む。これを原則1日1回、3年以上続けるというものだ。治療期間中は、月に一度は受診する必要があるが、普段は自宅で薬を服用する形となる。対象となるアレルギーは、2019年時点ではスギ花粉とダニのみ。
掛かる費用は診察代と薬代を合わせて、3割負担で5〜6万円ほどになると予想される。まぁ3年分なのでこれくらいになるのは仕方ない。ちなみに、梅雨真っ只中のこんな時期に始めたのは理由があって、12月から5月までは花粉への過敏性が高くて始められない(病院で受け付けてもらえない)ため。
対応医療機関の受診(初診時)
舌下免疫療法は保険適用となってから5年と日が浅く、まだまだ対応している医療機関は少ない。僕の場合は幸いにも近所の耳鼻咽喉科クリニックが受け付けていたため、そこを受診することにした。
血液検査
医師に舌下免疫療法を始めたいと伝えると、「少なくとも3年は取り組む必要があるが大丈夫か」と念を押された。やはりこの療法の一番のネックは、3年という治療期間なのだろう。そりゃ1アージュなんていう単位も生まれるくらいだもんな。
そこは覚悟の上だったので了承すると、血液検査となる。僕の場合は過去に何度かスギ花粉アレルギーの判定を受けているけれども、当日の検査は必須だった。看護師の方に「採血は必要ですが、既にアレルギー判定を受けられているのであれば多分大丈夫だと思います」と言われたけれども、大丈夫でないことに対して大丈夫というのも不思議な感覚だなぁと心の中でツッコミを入れてしまった。
チェックシートの確認
血液検査に続いて、治療を開始するにあたってのチェックシートを看護師の説明を受けながら確認していく。今回服用するのは鳥居薬品の「シダキュア」という薬。2018年に発売された新しいものらしく、他にも舌下免疫療法の治療薬はあるけれども、薬の種類についての説明は特に無かった。
確認項目は、治療の期間や受診等に関すること、薬の取り扱いや服用に関すること、そして副作用に関することが十数項目。特に副作用に関する注意事項は念入りに説明された。口や喉、耳などのかゆみや不快感がわりと多く表れるという点については、僕は甲殻類や果物のアレルギーがあるため、「あぁ、あれか」という感じで理解できたけれども、まぁ気分の良いものではない…。あと、重大な副作用としてはアナフィラキシーおよびショックがあるということ。これはアレルゲンを摂取する以上どうしようもない。
口内炎だと薬を服用できない!?
このチェックシートの確認中に、気になることを言われた。「重い喘息症状のある時」と「口内炎のある時」は薬の服用を控えるようにというのだ。僕は喘息持ちではないけれども、口内炎については1年の1/3くらいはどこかしらできているくらいヘビーな口内炎持ちなので、どうにも気になって医師に確認してみた。
医師によれば、口内炎のある時に薬を服用すると、患部にアレルゲンが触れることでアナフィラキシーのリスクが高まるとのことだった。口内炎の部位によっても、舌下の薬を保持する付近であるほどリスクは高いということで、常日頃から口内炎のあるような場合はリスクを理解した上で様子を見つつ服用するか、やめるかの選択となるということだった。
一瞬迷ったけれども、最悪アナフィラキシーショックが起こるのはこの療法を選択する以上避けられないので、最終的に了承した。
初回投薬時の受診予約
他の病院がどうしているかはわからないけれども、この病院では初回のみ医師が投薬し、30分後に副作用の発現有無を確認することになっていたため、その予約を取った。
最初の1週間分の薬はこの時に処方されるので、帰りに薬局で薬を受け取るのだけれども、この薬は一旦保管し、初回投与時に病院へ持って行くことになる。忘れそうでちょっと怖いので鞄の中に入れておいた。
患者携帯カードの交付
後は投薬をやっていくだけかと思いきや、とんでもない落とし穴が待っていた。
診察後の受付で、舌下免疫療法の「患者携帯カード」を渡されてしまった。しかも「常に携帯すること」とのこと。アナフィラキシーショックを起こすリスクがあるためということだが、いやいやいや…そういうことは先に言ってほしかった。
まぁ、携帯するカードが1枚増えた所で文句を言う人なんていないのだろうけれども、僕にとってはカード1枚とか大事なので…。とはいえ、医療機関側としては患者にカードの携帯を指導する義務があるのだろうから致し方ない。スマートフォンの裏にでも貼り付けておくかな。
対応医療機関の受診(初回投与時)
医師による初回投与
いよいよ治療が始まる。案の定と言うべきか、特大の口内炎が上唇にできていたので医師に伝えると、塗り薬を塗布してくれた。あと、先日の血液検査の結果ももらった。結果は重傷の入り口であるクラス4…この数値はここ10年くらい変わっていない…。
薬の投与自体は、口を開けたら医師がぽーんと舌下に薬を置いて、あとは口を閉じて1分待つだけ。1分経ったら飲み込むように言われるので、ごっくん。終わり。薬の味もほんのり甘く感じるくらいでほとんど気にならない。何とも呆気なかった。
出るや出ざるや副作用
それから30分待合室で待ちぼうけ。こればかりは副作用の出現確認なのでどうしようもない。
何もしないと落ち着かないので本を読んでいたけれども、口の中は一向に痒くなる気配が無い。絶対にあの不快感を味わうのだろうと諦めていたけれども、どうしたのか…。
結局、30分経ってからもう一度医師の診察を受けたけれども、口内は全く異常無し。ただ、これは個人差あるらしく、僕は偶然何も無かったけれども、やはり口内が腫れたり痒くなったり、喉がいがいがする人は居るらしい。
あとは2週間目以降の薬(初週の薬よりも高用量になる)を処方されておしまい。かと思いきや、僕は副作用こそ出現しなかったものの、口内炎が厄介ということで医師からビタミン剤も合わせて処方されてしまった。うぅ…只でさえ3年掛かる薬代が更にお高くなるのか…。
その後の経過
その後1週間は低容量の薬を飲み続け、いよいよ高用量のものに移行したけれども、今の所特に気になる副作用も無く、順調である。これなら全然気にせず続けていける気がする。むしろ毎食後に飲むビタミン剤の方が面倒なくらいだ…。
おわりに
まだまだメジャーな療法には程遠い舌下免疫療法だけれども、僕のような重症患者は背に腹変えられない感じなので、治療期間と副作用のリスクを理解してやる分には良い治療法だと思う。ただ、クラス2〜3程度の場合はマスクと薬で乗り切る方がリーズナブルという考えは当然あると思う。
何にせよ、治療の選択肢が増えてきたことは良いことだ。本州に住み続ける限り、僕達が生きている間くらいはスギ花粉の脅威からは逃れられないだろうから、3年間の治療で幾らかでも症状が緩和されることを祈りたい。
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- メディア: ヘルスケア&ケア用品