35歳からの中二病エンジニア

社寺・鉄道・アニメを愛でるウェブ技術者の呟き

無料で乗る京王5000系と紅葉前でも人大杉の高尾山

実家から家族が東京へ来て、成り行きで高尾山へ参詣することになった。現地集合だったので、折角乗るならと京王5000系を狙い撃ちしてみた。

ロングシート運用の5000系

以前から5000系には興味はあったものの、京王ライナーは新宿を夕方から夜にかけて出発する運用だけなので、新宿住まいの僕には全く無縁の存在だった。ただ、5000系自体は京王ライナー以外の列車にも充当されているので、それに乗れば良いやということで調べてみた。ありがたいことに、5000系の運用を詳しく調べている方がいらっしゃったので、参考にさせていただいた。

blogs.yahoo.co.jp

日曜日だったので、本八幡8:36発の快速橋本行きが丁度良さそうということで、いざ新宿三丁目駅へ。車両点検とかで他の車両が充当されるという事案が発生しないことを、こればかりは祈るしか無い。すると…、

本当に来た!5000系!!しかも快速なので社内はガラガラだ。ここぞとばかりに写真を撮らせていただく。

こんな感じに、京王ライナー以外ではロングシートでの運用となる。それでもシートは同じなので、京王の他の車両とは段違いの快適さだ。感覚値でしかないけれども、座り心地は近鉄5800系L/Cカー以上、JR西223系未満という感じか。近鉄以外のデュアルシートには乗ったことが無かったので、他に比べる相手が居ないのが辛い所だ…。

ちなみに、扉上だけでなく社内中央部にも液晶画面が付いているのが今時のデュアルシート車両っぽい。あと、京王ライナーでは無料Wi-Fiも使えるけれども、今回乗車した時も普通に電波が飛んでいたので、Wi-Fiについては制限は無いのかもしれない(実際に試してはいない)。電源コンセントについては、写真の通りロングシート運用では閉じられているので使えない。

そんなこんなで車内や車窓を眺めていると、あっという間に調布に到着。後から来た特急に乗り換え、更に北野で高尾線に乗り換え、高尾山口へ。高尾からは、いかにも登山客という感じのバックパックを背負った人達が一気に増えて、高尾山口も大賑わい。紅葉直前の中途半端な時期なのに、ホームの階段は新宿駅のような混雑ぶりだった。

平衡感覚を殺しに来るケーブルカー

今度は高尾登山電鉄のケーブルカーに乗車する。麓の清滝駅には既に行列が。ただ、7分間隔で運転していたおかげで、十数分待った程度で乗車できたのは有り難かった。

そしてやって来たケーブルカー。これは僕の手元が狂っているわけではなく、清滝駅には思いっきり山側に傾いた状態で到着する。というのも、このケーブルカー、最急勾配は31度18分で、ケーブルカーとしては日本で一番の勾配なのだ。麓では勾配が緩いから山側に傾くし、逆に山上では少し谷側に傾く。

特に下りで進行方向に座ると、発車から数分に亘って前へ押し出される感覚があって、面白いけれども中々落ち着かない体験をすることになる。この感覚は乗ってみないと中々わからないと思う。

人大杉の高尾山

流石は東京から気軽に来られる登山スポットだ。どうしようもなく人が多い。薬王院への参詣が目的の人と登山が目的の人がごっちゃになって、混沌としていた。普通の社寺の雰囲気ではなかったので、普段なら山門や参道の写真を撮るのだけれども、まともな代物にならなかったので、貼るのは諦める。

ただ、奥の院と浅間社は良くも悪くも通り過ぎていく人が多いので、比較的落ち着いて参拝できると思う。逆に、山頂はウェーイな感じになっているので、早々に退散することとなった。

一番印象的だったのは、薬王院の本堂から山伏の方が出てきたことだった。高尾山は修験道の道場としての歴史があるからというのは理解できるけれども、同じく修験道場である戸隠山では、神職の姿の方しか見掛けなかったので、レアな発見だった。

あと、戸隠山は明治の神仏分離で完全な神社に転換されたけれども、高尾山は神仏習合の形を色濃く残していて、本堂と権現造の本社、そして鳥居が立ち並ぶ姿は歴史を感じさせる。

おわりに

高尾山はもう少し落ち着いて参詣できれば良かったけれども、都内なので中々難しいのだろうなと思いつつ、今回はめでたく京王5000系に乗れたので、久々に鉄分を補給することができた。そう言えば最近まともな鉄道旅行をしていない気がする…。そろそろアニメ用と鉄・社寺用とプログラミング用に分裂したい。

モバイルSuicaとJR東日本のウェブサービスから退会した話

最初に断っておくと、僕は鉄道クラスターの端くれなので、JR東日本には日頃からお世話になっている。ところが掲題の通り、モバイルSuicaを含めたJR東日本のウェブサービスから全て退会することになった。

ざっくりとした退会理由

  • 管理しなければならないアカウントが増えすぎた
  • Google Payが登場したことで年会費無料の条件が増えた
  • 使い勝手やセキュリティーがよろしくない

詳しい退会までの流れは後ほど。

実際に退会したサービス

  • モバイルSuica
  • えきねっと(切符のオンライン購入等)
  • VIEW's NET(クレジットカード情報照会)
  • JRE POINT(Suicaとかのポイント交換)
  • My JR-EAST(JR東日本のウェブサービスアカウントをまとめるやつ)

ちなみに、ウェブサービスではないけれども、今回同時にビックカメラSuicaカードも退会した。この辺り、どのようにして僕がJR東沼にハマり、抜け出したのかについて順を追って説明しようと思う。

入会のきっかけ

話は今から約10年前、2009年春にまで遡る。その当時、僕は滋賀県大津市に住んでいたが、勤めていた会社がお取り潰しになってしまい、東京の関連会社に拾われることが確定していた。東京だと交通系電子マネーは日常的に使うだろうと思ったので、クレジットカードからいつでもチャージできるモバイルSuicaを使ってみようという流れになった。

ところが、モバイルSuicaはJR東日本(現ビューカード)の発行するクレジットカード以外を使うと年会費が1,080円掛かってしまう。そしてJR東日本のカードも全部年会費が設定されていた。一応他にもEasyモバイルSuicaというサービスもあったが、こちらはクレジットカードからのチャージができないので却下だし、どうしようかと考えた。

ビックカメラSuicaカードとの出会い

そんな中、1つだけ条件付きで年会費無料になるカードがあった。ビックカメラSuicaカードだ。条件と言っても、年1回の利用だけなのであって無いようなもの。これだ!と思い、すぐにビックカメラJR京都駅店へ向かった。

ちなみに、当時はビックカメラJ-WESTカード(ビックカメラSuicaカードのJR西日本版)が登場した直後で、店側もそちらを激推ししていた。そんな中でSuicaカードを申し込んだものだから、店員から「本当にこちらでよろしいんですか?」と怪訝な顔で念を押されたのは今でも覚えている。

使えるSuicaと使えないウェブサービス

東京でのモバイルSuica生活は快適だった。定期券は駅で並ばずともアプリで買えるし、オートチャージを設定していたので残額不足でSuicaペンギンからラリアットを食らうことも無く安心だった。

ただ、ウェブサービスの方がどうにもイケてない。Suica本体の情報はモバイルSuicaの専用サイト、切符の購入はえきねっと、Suicaで貯まるポイントはSuicaポイントクラブ、ビックカメラSuicaカードはVIEW's NETと、4つもバラバラのアカウントを登録する必要がある。一応My JR-EASTという1アカウントで全てのサービスにログインできる仕組みはあるけれども、アカウントの二重管理になる上、結果的にそれ用のアカウントがもう1つ増えるという地獄だった。

クレジットカードは別アカウントでも仕方ないと思うけれども、その他は最初から纏められなかったのかと、今でも不思議で仕方ないが、なんとこの状況は9年後の今年春になるまで変わらなかった。

Google Payの登場

転機は外からやって来た。Google PayがSuicaをサポートしたことで、全てのクレジットカードでモバイルSuicaを無料使用する道が開けたのだ。

従来のモバイルSuicaと比べると制約はあるものの、僕は今では定期券を使っていないし、オートチャージについても改札でしか効かないから、それよりはGoogle Payの残額通知の方が助かる。何より、あのガラケー時代から進化していないUIのモバイルSuicaアプリから解放されるのが嬉しい。

というわけで、モバイルSuicaのアプリについては早々にGoogle Payに移行した。ただ、この時点では退会までするほどの何かは無かったので、それ以上の行動は起こさなかった。

観光地化するビックロ

伏兵はビックカメラの方から現れた。自宅から最寄りのビックロが、どんどん使えない店になってきたのだ。

開店当初こそ、新宿西口と良い勝負かそれ以上の品揃えだったので、便利になったものだと喜んでいたものの、近年のインバウンド需要に当て込んでか、完全に外国人観光客受けするような店構えに変貌してしまった。今では日本人よりも中国人客の方が多いのではないかという有様だ。

ならば西口へ行けば良いという話だけれども、西口であればヨドバシの方が品揃えは豊富なので、ビックカメラを選ぶ理由が薄くなる。折しもヨドバシは近年になって、他社クレジットカードでもポイント還元率が下がらなくなったので、ビックカメラSuicaカードを持つ意味のもう片方も崩れた。

セキュリティーへの疑念

トドメがこの事件。

togetter.com

まさか2018年にもなってパスワードぶった切り案件が出てくるとは思っていなかった。JR東日本のウェブサービスの残念さは、モバイルSuicaアプリを見ればお察しという感じではあったけれども、さすがにセキュリティー面でこの有様はやばいと思い、いよいよ退会しようという考えに傾いていった。

退会するためにJRE POINTアカウントを作る

冗談かと思った。

SuicaのチャージでビックカメラSuicaカードのポイントが5,000円分くらい貯まっていたので、これを還元してから退会しようと思ったら、今年の春頃にJRE POINTというポイントサービスに統合されたらしい。いや、統合するのは良いけど、それでまたアカウント増やすなよ…。

というわけで、ポイントを還元するためだけにJRE POINTのアカウントを作成、Suicaにチャージ、即退会…できない。

1日待たないと退会できないJRE POINT

後でわかったことだけれども、夜間にバッチ作業でもやっているのか、ポイント交換を行った場合は翌日にならないと退会できないらしい。だったらそうやって注意書きを出せば良いのに、退会処理を試行した時のエラーはこれだ。

「交換申込み中のSuicaチャージまたは(JRE POINT用)Suicaグリーン券が未受け取りとなっており、退会できません。(116)」

いや、受け取って残高も画面に反映されているんですがー。僕はこの時点で何となくバッチ作業の問題だろうと察したけれども、一般のユーザーであればそんなことは知ったこっちゃないだろう。

おわりに

中々凄いものを見てしまったが、ひとまず全てのアカウントは削除した(向こうで削除されたかは置いておいて)。ただ、モバイルSuicaだけは必要なので、改めてGoogle PayでSuicaを登録した。つまり、厳密には退会した後で再登録したという話ではあるのだけれども、まぁそこは勘弁してほしい。

一応今後もお世話になるということもあるし、Suicaの仕組み自体は世界に誇れる素晴らしいものだと思うので、中の人達にはサービスの改善に邁進していただきたい。というかもっとウェブサービスに投資した方が良いと思う。いや本当に。

そして続きはこちら…。

aikawame.hateblo.jp

近鉄の新型名阪特急に物申す

気動車のことを「電車」と呼ばれると顔を真っ赤にして訂正したくなるaikawameです。ごきげんよう。

はじめに

近鉄が「新型名阪特急」の新造について発表した。

news.mynavi.jp

72両という製造数からして、アーバンライナーplusを置き換える計画なのだろう。僕は実家の庭から近鉄電車が見えるような環境で育ったし、アーバンライナーはリニューアル前も後も乗ったことがあって思い入れ深く、今回の発表には色々と思う所があったので、少し吐き出してみようと思う。

良くも悪くも変える近鉄

僕は近鉄には思い入れがあるけれども、「近鉄といえば?」と訊かれて即答できるようなキーワードが中々出てこない。

例えば、阪急の「マルーンの電車」、京急の「赤い電車」のように、固有の色を持っている会社がある。あるいは、名鉄の「パノラマカー」や小田急の「ロマンスカー」のように、看板列車を持っている会社がある。

翻って近鉄はどうか。通勤車両はここ30年程の間にマルーンレッド単色から白の入ったツートン、そしてシリーズ21へと激変している。特急車両も橙と紺のツートンが当初からの伝統だったのに、それが白基調に変わってしまった。

看板列車はというと、ビスタカーからアーバンライナーへ移り、伊勢志摩ライナーやしまかぜのような観光列車も出てきた。とはいえ、数で言えば何だかんだでアーバンライナーが花形で、今までなら「近鉄といえばアーバンライナー」とまだ言えたと思う。

それが今回の発表で見事に砕けた。恐らくアーバンライナーという愛称は変わるだろうし、仮に残ったとしても白基調でないアーバンライナーは、果たしてアーバンライナーなのか?と思ってしまう。

近鉄という会社は、良く言えば常に新しいことに挑戦しているけれども、悪く言えば節操なくあれもこれも変えているというのが率直な印象だ。何が正しいとははっきり言いにくいけれども、鉄道に関して言えば伝統というのは結構重要ではないかと思う部分がある。

郷愁に浸りたい

例えば、鉄道に少しでも興味があれば、地元の路線や旅先で乗った路線など、誰しも思い出はあると思う。そんな路線に久しぶりに乗ろうと思ったら、車両の形式も色も何もかも変わっていた。それって結構寂しくないだろうか。

無論、鉄道車両にも寿命はあるので、新型に置換えられていくのは仕方ないし、サービスの向上という点では歓迎されるべきだとは思う。一方で、外観というのは以前の世代から継承できる部分は必ずあるはずなので、そこは何かしら残してもらえないものかと思う。

例えば、京急などは「赤い電車」のイメージを守るために、塗装不要のステンレス車に敢えて塗装するという拘りを見せている。そこまでではなくても、JR東海のような、ほぼ全ての形式にコーポレートカラーを入れるというやり方も良いと思う。没個性と表裏一体ではあるけれども、東海圏の何処へ行っても橙色の列車がやってくるという安心感は、それはそれで悪くないものだ。

大井川鐡道やいすみ鐡道のような「保存鉄道」の取り組みが注目されるようになったのも、嘗て走っていた昭和の名車が姿形もそのままに残されているからであって、そうした需要があることからしても、伝統を継承していくことは長期的に意味があると思うのだけれども、いかがだろうか。願わくは、駅ホームの緑色したビニール屋根くらいは近鉄名物として後世まで伝えてほしいものだ。

おわりに

普段はこのカテゴリーも、社寺巡礼と同様に各地の鉄道を巡った記録を残す場所にしようと思っていたのだけれども、さすがに真冬は寒くて外に出るのが辛いので、ポエムでお茶を濁してしまった。早く春になってほしい。

あと、どうでも良い話だけれども、サクラ大戦で真宮寺さくらが「電車が来ました!」という名言を残したことは今でも忘れていない。