35歳からの中二病エンジニア

技術や時事ネタ、鉄道・社寺巡礼など趣味の話を綴ります。

名声に見向きもせず、自らを主観視し続けて、私はまだ、中二病のままだ。

人はなぜ、中年になるのだろうか。

20代の頃は趣味なり恋愛なりブイブイいわしていた人達が、いつの間にか干からびて、「どうせ俺なんか」とか「俺は人生の敗者だ」とか言い出す。余りにもテンプレートな光景。僕にはよくわからない。

ただ、間違いなく言えることは、人生に勝ち負けを持ち出した時点で、彼らが言う所の「負け」だということだ。僕は人生に勝ち負けを持ち出すのは不毛だと思っている。それでも強いて持ち出すとすれば、僕は今まさに勝負の真っ最中だ。そしてこれは、死ぬまで変わらないと思う。

別に僕は大層な人間ではない。何処にでも居るような普通のウェブエンジニアだ。

20代の頃は、余暇は同人の音楽活動にほぼ費やしていたので、エンジニアのキャリアに全力を傾けていた訳では無かった。30歳手前で運良くリードエンジニアと呼ばれるくらいの位置に付けて、10人程度のチームを纏めたり、勉強会での登壇やインターン生のメンター等をやらせてもらったこともあり、環境には非常に恵まれていたと思う。

ただ、肝心な僕自身の精神が保たなかった。

僕の精神の糸が切れるのは唐突だった。

30歳の秋、車で遠方に出掛けた帰りに、交通トラブルに遭遇した。駐車場の隣に駐めていた車に、ドアを当てたと因縁を付けられたのだ。相手は物凄い剣幕で怒鳴り込んできて、僕はパニックになった。幸い車内をロックして、同乗者が警察に通報してくれて事無きを得たけれども、そこから僕は人とまともに話せなくなってしまった。

精神科に受診した所、適応障害ということだったが、広汎性発達障害の疑いがあるから専門医を受診した方が良いと助言され、発達障害外来を受診することになった。職場には1ヶ月の休職という形となった。この頃はずっと頭の中にモヤが掛かったような状態が続いていたので、特に疑問も感情も無かった。

発達障害外来を受診して、投薬治療の傍ら、リワークプログラムを受けたり、WAIS-Ⅲと呼ばれる成人向けの知能テストを受けたりした。結果として、医師からは典型的なアスペルガー自閉症スペクトラム障害だと診断された。

この頃になると、随分と精神状態も落ち着いてきて、自分の身の回りのことも理解できるようにはなっていたけれども、やはり特別な感情は抱かなかった。というのも、挙げられる症状や対処は僕が今まで生きてきた中で経験してきたものしか無かったからだ。僕は自分のことを変わり者だということ位は自覚していて、その変わっている部分に名前が付いた程度にしか思わなかった。

その後、復職した後に2度転職したけれども、その間に再び休職した。この時は職場に頻繁に怒鳴る人間が居て、それに精神をすり減らされた末のことだった。今にして思えば、最初にパニック障害を起こした時に辞めておけば良かったとは思うけれども、おかげで一つの教訓を得た。

それからの僕は、以前にも増して自分を取り繕わなくなった。無理をすることをきっぱりと止めたのだ。

周囲からどう思われても構わない。最悪、会社ならクビになるか、プライベートなら人が離れていくだけだ。それで心の安定が得られるなら安いものだと思う。今勤めている会社や、こんな僕とでも交友関係を持ち続けてくれている方達からすれば堪ったものではないかもしれないけれども、そう思うならばどうぞ、切り捨ててもらいたい。お互いに是々非々の関係を持ち続けることが最善だと思っている。

仕事のことで言えば、巷で言われているキャリア形成を意識するのを止めた。おかげで僕は35歳の今、一兵卒のエンジニアだ。給料だって最盛期よりも3桁万円近く落ちている。でも、やりたいことに集中して取り組める環境を得たおかげで、仕事の楽しさとストレスの無さで言えば今が人生で一番かもしれない。ストレスが減ったので、余暇まで有意義に過ごせて一石二鳥だと思っている。

今は良くても将来はどうなるかわからない。ご尤も。ただ、僕は10年前に今の自分を全く予測できなかったので、きっとこれから10年後も何が起こるかはわからない。なので、10年単位とかの長期的な視野を持つことに意味は無いと思っている。特に、僕のような変わり者には人生のお手本、ロールモデルというのがなかなかできない。なので、目の前や少し先のことに集中した方が上手く行くような気がしている。

35歳にもなって最新のアニメを2桁チェックしているし、衣服や靴は安物を使い回しているし、車も家も持っていない。世間様からすればいい歳して碌でもない人間だと映るかもしれない。でも僕は、それを恥だと思ったことは一度も無いし、誰に何を言われても揺らがない自信はある。

少しでも揺らぐようなことがあれば、考え直した方が良い。他人は責任を取ってくれない。人から言われた通りに行動して、後で何かあってもそれを言った連中はどうせ言ったことすら覚えていない。それ位無責任なのだから、人生は万事自分の価値観に基づいて行動すべきだと思っている。そうすれば、何か失敗しても自分がやった事として糧にできる。人から言われたことだと、失敗した時に言い訳が出来てしまうから、いつまで経っても成長しない。

こんな考えをしているので、僕には隣で発泡酒を飲んでくれる人も殆ど居ない。

でも、僕自身は自分のことをそれなりに好いているので、まだまだ大丈夫かなとは思う。

【プロフィール】

著者名:aikawame

SIer、音楽活動、大学院中退を経て、流れ流れてウェブ業界に至った流浪のエンジニア。