不思議なタイミングで正解するカド12.5話が公開された。
話数から想像するに、本編の後日談かと思いきや、実際には2時間の総集編、構成としてはほぼ映画のような感じだった。僕は本編がかなり気に入っていたので、本編で足りていなかった表現を補完する部分も多く、概ね楽しめた。ただ、結末だけはどうしても納得できず、12.5話を正解として認めることは出来ない。ただ、だから悪いということでは無い。
何が納得出来ないか
12.5話の結末に納得出来ない理由は単純で、交渉が主題である作品なのに、最後は拳と拳のぶつかり合いで終わってしまうからだ。一方で、TV版は超展開と揶揄されてはいるけれども、最 後に真道はザシュニナの求めた驚きを与えることで、交渉をやり抜いたと言える。つまり、結末の意味する所が真逆なのだ。
もし12.5話を認めてしまうと、0話が光を失ってしまう。0話で神憑り的な交渉をやってのけた真道が、人外の存在相手にも交渉力を発揮してくれるというから面白いのであって、結局人外相手では話が通じませんでしたでは、0話は一体何だったんだということになってしまう。僕は0話やワムの製造法公表のような話に震えたタチなので、それをやってのけた真道でも交渉が出来なかったというのはちょっと認められない。
超展開の是非
とは言え、TV版の途中からの所謂超展開については、重厚なSFファンからすると辛い所があったのもまた事実だとは思う。確かに8話辺りから急に話が軟派になっていき、ロジックで固められていた話の中に感情的なものが混ざるようになっていった。ただ、そこについてはザシュニナと沙羅花の対比軸なので、僕は悪いものだとは思っていない。
一方で、所謂超展開によって驚かされたのはザシュニナに限らず視聴者もそうであろうから、むしろあの展開は視聴者にザシュニナを追体験させる技法だったと考えられる。僕自身、最終回がまさかあんな風になるとは全く予想していなかったので、当初の重厚なSFとの落差で思わず爆笑してしまった。ザシュニナはさぞ満足だったに違いない。
おわりに
今回の総集編について、何故わざわざ結末を変えてまで制作されたのか。制作陣の真に意図する所は計り兼ねるけれども、考察し甲斐のある作品であることは間違いない。ネタバレ程度では色褪せないくらいに濃い作品なので、気になる人はTV版、0話、総集編を通して観てみると良いと思う。全編通して観ると、この作品への見方がどんどん変わってくると思う。
ひょっとすると、制作陣はそれを狙って結末を敢えて真逆にしたのかもしれない。作品としての結末、どちらが正解なのかは視聴者が選んでくれと。
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